一つづきに繋がったもの
技術部長 柿本 健一
大学概要では、本学職員の分類として、役員・教員・事務職員・技術系職員・医療職員と記載があります。技術部に直接関わる職員のみ、「系」がついていることに最近気づきました。ある国語辞典で調べると、「系」の意味には上記に見合った②「組織だった分類」…などがある一方で、筆頭の①には「一つづきにつながったもの」とあります。深読みをご容赦いただければ、ここではこの「一つづき」に注目させてください。技術系職員は特定分野において修練し、その積み上げた技を応用して学内貢献することに最も喜びを感じるはずだと想像しています。しかし、限られた業務時間の中で多様なミッションが続く状況下、その修練の時間を確保し、喜びを感じ、それが評価される機会が如何ほどにあるのか、この2年間ずっと気に留めてきました。
同様なことは、教員を対象としても当てはまります。敢えて、コロナ禍をプラス思考すると、時空間の概念が積極的に見直しされたとも言えます。国内外出張や対面会議の制限、それに替わるリモート活動の普及を端にして、これまで当たり前として捉えてきたものが、実は効率化を阻む側面も併せ持っていたことにも気づかされました。一例は国際会議や研究会の類です。いったん発足するとなかなか閉じることができず疲弊かつ乱立気味だったものが、それを取捨選択/リモート化することによって、特に若手教員における研究時間の確保が進み、論文の量と質が復調軌道に入ったことを最近実感しつつあります。
技術部における「一つづき・・・」の主軸は、修練-貢献-評価の流れに他ならないと考えています。第四期中期目標期間の開始とともに、「心で工学」を合言葉にしていくことが本学ビジョンとして定まりました。合言葉が意図する幸創造の工学像に加えて、全構成員の心にも響く組織であり続けていくためには、学内の動きや要望を敏感に捉え、他組織とも協同していくこと、そして本誌も含め貢献の成果などを積極的に広報することが有効策の一つと考えています。構成員の多くを占める学生のどの程度が技術部を知っていることでしょうか。
技術部にとっても変革を求められるこの期間、誰もが気持ちよく業務を進め、正当な評価と信頼を受ける体制づくり、さらに将来像が描きやすいキャリアパスの整備など、技術部全体で「一つづきに繋がって」取り組むことができればと思っています。直近一年間に取組んできた各種の実践例を含む技術報告集Vol.23を発刊させていただきますが、本学構成員の皆様には、引き続き、技術部に一層のご愛顧とご期待を乞うところとなります。